早期発見が鍵!根面う蝕について Part1

こんにちは、宇都宮みろ歯科、歯科衛生士の新藤です。

桜の開花宣言から数日経ち、今やお花見のシーズンとなりましたね。

桜並木や公園、また学校やらで色づき薄桃色の花弁が満開になる様子は春を殊更感じさせてくれますね!入学生や新入社員を彩る桜の下、これからも頑張ってとエールをくれるような気がします!
また、コロナからの解放で花見酒や宴会が多くなるでしょうが、そんな中気をつけて欲しいことがやはり虫歯ですね。

今回、この根面う蝕(虫歯)についてお話をさせて頂きます。
我が国では少子高齢化が予測以上に急速に進んでいます。また、25歳未満の若年者のおいての虫歯が減少している一方で、高齢者では根面う蝕が増加しています。このような虫歯よパラダイムシフトが起き始めたことで、根面う蝕が注目されるようになっています。
しかし、根面う蝕には依然として信頼できるエビデンスが少なく、対処法な確立されていないのが現状です。さらに、修復・補綴治療の成績が思わしくなく、多くの歯科医院は対応に苦慮しています。

まず、根面う蝕とは歯茎が退縮して露出した歯の根に生じる虫歯です。歯茎が退縮して歯の根が露出しない限り虫歯は発生しないので、歯周病やその治療との関連性が高く、年齢とともに増加していきます。
そのため、高齢化社会となった日本では次第にこの根面う蝕の発生が高くなり、治療の割合の50%が根面う蝕になるのは時間の問題となるでしょう。

発生のメカニズムの説明をしていきます。
虫歯は部位によって歯冠部う蝕と根面う蝕に分けられます。部位に関わらず、歯垢の中の細菌が産生した酸により歯質が脱灰されて発生することには変わりありません。しかし、歯冠部と根面部では構造が違っているので、当然メカニズムは異なってきます。

構造の違いとして、歯冠部の外層は臨界pHが5.5
低く硬くて、厚いエナメル質でできているのに対し、歯根部は臨界pHが6.7と高く、脆くて薄いセメント質が象牙質を覆っています。そして、歯の神経までの内層は歯冠部も歯根部も象牙質で出来ていますが、その厚みは象牙細管の太さなどはそれぞれ異なっています。

また発生と進行にも違いがあります。
一般的な歯冠部のエナメル質には、エナメル小柱鞘や結晶間隙という空間があり、この隙間を伝って細菌が作り出した酸が拡散して虫歯になります。
しかし、象牙質には象牙細管やコラーゲン繊維という構造を経路ときて酸が浸透して行くため、象牙細管の走行に従って虫歯が進行していきます。細菌が出すタンパク質分解酵素で、露出した象牙質のコラーゲン繊維が分解されると虫歯の穴が形成されます。
セメント質の無機質は、歯垢の中の酸に触れると早期に脱灰され、有機質であるシャーピー繊維も膨化し容易に崩壊脱落します。

脱灰・再石灰化への影響もあります。
通常、飲食のたびに歯質中の無機質は溶け出します。しかし、20~30分後に口腔内が中性に戻ると、唾液中のカルシウムイオンとリン酸イオンが歯質内に取り込まれ、再石灰化が起きます。
歯冠部の虫歯の場合は、エナメル質はほとんどが無機質でできているので、効率よく再石灰化が起きます。また、脱灰と再石灰化のバランスなよく取れている場合は、そう簡単に虫歯にはなりません。さらに、虫歯の初期段階ではフッ化物を利用して再石灰化を促進することで回復することもあります。
一方、根面う蝕の場合は、もちろん象牙質においても脱灰より再石灰化な優劣なときには活動性う蝕は非活動性化されますが、有機質により結晶の成長が阻害されるためエナメル質のように十分な歯の修復は期待できません。

今回はここまでです!また次回もこの根面う蝕についてお話させていただきますね!