早期発見が鍵!根面う蝕について Part2

こんにちは、宇都宮市みろ歯科の歯科衛生士の新藤です。

6月も終わりに近づき、7月の初夏の暑さがやってきてますね。新緑の季節から夏の若葉の青さがまた季節の移り変わりを実感し、暑さもどんどん強くなってきて体調が崩しやすいかもしれません。室内でも熱中症になるため、皆さん水分補給はしっかりとして下さいね。7月も各地で色々な催し物があったり、雨の日や暑い日でもそのような所に行き、良い思い出を私も作っていこうと思います!

さて、今回は限界の根面う蝕についての続きをお話して行きますね。
今回は何故、根面う蝕が厄介だと言われる7つの理由をお話しましょう。

理由1
象牙質は耐酸性が低く、エナメル質ほどの再石灰化は望めないこと。
象牙質のハイドロキシアパタイトの決勝はエナメル質に比べると小さいので、単位体積当たりの表面積が大きくなり、酸に溶けやすくなっています。さらに、象牙細管やコラーゲン繊維が酸の通路経路となり、脱灰されやすい構造をしています。

口腔内が中世に戻ると、唾液からカルシウムイオンやリン酸イオン、歯磨剤からはフッ化物イオンが供給され、象牙質でも表層は再石灰化されます。しかし、脱灰層に多量の有機質が存在するので、再石灰化が継続してもエナメル質のようには十分に修復されません。

理由2
セルフケアが難しい、プラークリテンションファクターに要注意
歯頸部と隣接面は、もともと自浄性に乏しいうえに、ブラッシングによるプラーク除去が難しい不潔域で、う蝕の好発部位です。こういった場所でほ、ブラッシング不良により歯周病が進行して歯肉が退縮すると、不潔域が増大します。
臼歯部では、隣接面中央が凹み、断面がひょうたん形をしている歯根や複根歯よ根分岐部がありプロフェッショナルケアですら困難な場合があります。
また、義歯装着患者における鉤歯義歯側隣接面、上顎最後方歯遠心隣接面もプラークコントロールが困難な部位です。
さらに、根面う蝕が進行してう窩ができると、プラークリテンションファクターとなります。

このような部位では、通常の歯ブラシだけではプラーク除去効果は低く、フロス、歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、口腔洗浄器などの補助清掃用具が必要です。
高齢の方は、加齢により筋力の衰えなどで手指が動きにくくなり、通常のブラッシングでさて上手に出来なくなります。こういった方に唾液分泌量の減少がともなうと、根面う蝕のリスクがさらに高まり、悪循環に陥るので、ブラッシングに高いスキルを必要としない音波ブラシやフッ化物洗口剤の使用を勧めます。

理由3
自覚症状がほとんどない、高齢の方は歯の神経の感覚が鈍っていることもある
とくに高齢の方は歯の神経の感覚が鈍くなってしまうので、根面う蝕が発症しても痛みなどの自覚症状がありませんので、早期発見が難しいのです。
一般的に、歯根が露出すると温熱刺激などが歯の神経へと伝わり、生体の防御反応として歯の神経側に新たに修復象牙質が添加されます。

歯根部象牙質の厚みは歯冠部より薄いので、刺激が歯の神経に伝わりやすく修復象牙質が形成されやすいと思われます。
また、う蝕による象牙質の脱灰は象牙細管内への細菌侵入よりつねに先行します。そのため、やはり防御反応として、pHの低下が回復すると脱灰溶出したカルシウムイオンとリン酸イオンを利用した結晶構造物が象牙細管内に集まり、象牙細管は狭窄または閉塞されます(透明層)。
さらに、修復象牙質の添加による歯髄腔の容積の減少または根尖孔の狭窄による血行障害も起き、徐々に歯の神経の退行性変性が進んで行きます。とくに、高齢者では加齢によって歯の神経の組織内に細胞の減少などの変化が現れ、それと同時に結合組織が増加して繊維性の萎縮も始まります。これが、歯の神経が鈍くなる原因です。

理由4
早期発見が難しい、初期の段階では、デンタルエックス線写真でもわからないこともある。
〇視診や触診が難しい
う蝕を検出するときは、視診、触診、エックス線検査、患者さんの訴えを総合して診断します。
通常、初期活動生根面う蝕らプラークに覆われているので、まず歯面清掃をして、視診や探針を用いた触診を行います。エナメル質う蝕では、初期変化は白斑として比較的容易に検出できますが、根面う蝕はある程度進行して表面に色調変化や粗造感が出現するまで検出が困難です。歯間乳頭が退縮して隣接面の歯根が露出すると、部位的にも形態的にもセルフケアでのプラーク除去が難しく、唇(頬)側よりも根面う蝕が発生しやすい環境下に置かれます。しかも隣接面の歯根面は歯科医療者にとっても視診や触診は容易ではありません。
〇エックス線検査でも見つけにくい
頬舌側の根面う蝕に対するエックス線検査は、う蝕がある程度進行していても、透過像として認められないだけでなく、歯髄腔との位置関係も把握できないので、効果的ではありません。

また、隣接面の根面う蝕に関しては、有効ではあるものの、初期の根面う蝕の検出精度は低いと思われます。しかし、精度が低いからといってデンタルエックス線写真を撮影せずにいるとう蝕の見落としに繋がるので、定期的な撮影が必要です。

根面う蝕は患者さんが見つけにくい部位に発生し、一般的に痛みなどの自覚症状がないことから、患者さんからの訴えもないため、検査にあたって見落とさないような気構えが必要です。

理由5
活動生の診断が難しい
う蝕象牙質には有機質が存在するため、エナメル質ほど質の良い再石灰化は起きませんが、環境が良くなれば表層は再石灰化されて硬くなり、う蝕の進行を抑制あるいは停止させることも出来ます。したがって、う蝕の活動性の評価が重要になってきます。
根面う蝕における活動性の評価は、硬さ(硬い、皮革様、軟らかい)、表面性状(滑沢、粗造)、色調(黒色、暗褐色、淡褐色、淡黄色)、歯肉縁からの距離などによって評価されますが、硬さをもっとも重要視しています。
「皮革様の硬さ」とは、探針を押し込み、引き抜くときに抵抗を感じる硬さです。「軟らかい」は、押し込みも引き抜きも抵抗がない硬さで、「硬い」は探針が食い込まない硬さです。「軟らかい」から「皮革様」および「皮革様」から「硬い」への時間軸で診た変化は非活動性化(回復傾向)、「硬い」から「皮革様」および「皮革様」から「軟らかい」への変化は活動性化(悪化傾向)で、判定は比較的容易です。
しかし、中間の「皮革様」硬さ内の判定は難しく、客観性に乏しい判定になりがちです。根面う蝕の範囲が広くなると、硬さや色、表面性状、う窩が混在していることも多くあります。

このような場合の代表値の決定方法も確立されていません。また、管理中に一部が硬くなったり、柔らかくなったりした場合、どう評価するのか、参考にできる情報もありませんので、独自の基準を決めておく必要があります。

理由6
治療が難しい、間接修復は適していない
根面う蝕に、歯冠部う蝕に準じた方法(切削をともなう修復治療)で対応し、あっという間に露髄したり、歯冠部の破折を招いた日など、患者さんにとって不幸な結果になってしまうことがあります。
インレーなどの間接修復は口腔外で作業できるというメリットがあるものの、健全な歯冠の削除量が多くなるため、根面う蝕には適さず、臼歯部隣接面であっても、主としてグラスアイノマーやコンポジットレジンを用いた直接修復が適用されます。
根面う蝕は病変の辺縁だけでなく深度も不明瞭であるため、どこまで削除すればよいのか判断に悩むことがよくあります。また、う蝕が環状に進行したり、歯肉縁下に及んだりすると、部位的にも解剖学的形態からも切削や修復操作が容易でなく、高い技術が要求されます。チェアタイムや水平位診療ができなちなどの制限がある高齢者においては、治療はいっそう難しくなります。このような背景から、う窩のない(欠損0.5mm以下)根面う蝕に対しては非切削でのマネジメントが推奨されています。ちなみに、ガイドラインではエビデンスの確実性は「高」「中」「低」「非常に低」に分けられることが多いのですが、根面う蝕の非切削でのマネジメントに対する全体的なエビデンスよ確実性は「中」で、実施してみると理由5のように評価で悩まれることが多いと推測します。

理由7
切削をともなう治療の予後が不良
根面う蝕を修復する場合、窩縁(マージン)の大半は象牙質に設定されます。根面う蝕の範囲が不鮮明なため、マージンが根面う蝕上に設定されていることもあると思います。う蝕象牙質に対するコンポジットレジンの接着性は低いため、辺縁漏洩が生じやすく、脱落のリスクも高くなります。仮に健全象牙質に窩縁が設定されていても、治療後のプラークコントロールをはじめとした口腔内環境の改善が困難であるため、う蝕が発生または進行しやすいことに変わりはありません。
根面う蝕の修復治療に関する長期臨床成績のほうこくら見当たりませんし、信頼性の高いエビデンスはありません。しかし、歯冠部の修復治療に比較すると歯根部の修復治療の成績は不良であることはほぼ間違いではありません。露髄した場合、根管の狭窄、閉塞に加え、防湿や隔壁、仮封材の封鎖性が懸念され、歯内療法の成功率が低下することになるでしょう。さらに、補綴治療では、ポストの維持不足、大きな歯冠歯根比のため予後が不良となります。また、歯根はせつのリスクも大きくなると考えられます。

以上をふまえると、根面う蝕は高齢者が増えるに連れてどんどん増加していくことは確実です。
そのためにも、定期検診にてこういったものが無いかどうか、等をしっかりと確認してもらいアドバイスを貰えると将来的に根面う蝕の予防にも繋がりますので、是非とも歯医者さんの定期検診には通ってくださいね!