骨隆起

こんにちは。宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の山元です。
2月も終わりに近づいてきましたね。雪が降るほど寒かったり、5月のような暖かさになったり、寒暖差が激しい今年は体調管理が難しいですね。プラスして花粉も飛び始め、花粉症の方には辛い季節ですね。鼻が詰まったり苦しい日も多いと多いと思います。
治療中苦しい時は気軽に声をかけて下さいね。
さて、今日は「骨隆起」についてです。
骨隆起(こつりゅうき)聞いた事ありますか?
私はこの骨隆起がかなり大きく、歯科関係の方に見せると驚かれるほどです。(笑)
患者さんでも、「歯肉が腫れてる」「歯肉が固く盛り上がってる」とおっしゃる方がいました。
歯肉が歯肉炎や歯周病で腫れている場合は、柔らかくブヨブヨしていたり、出血があったり、痛みがあったり、歯周ポケットが深くなっています。それとは違い、固く出血もなく、触っても痛くなくて骨が盛り上がっているのが骨隆起です。
では骨隆起とは何?と思いますよね。
少し専門的な話になりますが、骨隆起の発生には「スクレロスチン」と言うタンパク質が関わっていると言われています。骨を作る「骨芽細胞」と呼ばれる細胞は、自分が一生懸命つくった骨に埋もれて動けなくなってしまいます。埋もれて動けなくなった骨芽細胞は「骨細胞」と呼ばれ性質が変化します。骨細胞が分泌するタンパク質がスクレロスチンで骨芽細胞の骨形成を強力に抑制する効果があります。骨に埋もれて動かなくなった骨細胞が骨を作る骨芽細胞に「骨を作らなくていいよ」と信号を出すのがスクレロスチンなのです。
逆に骨細胞は「力がかかる」とスクレロスチンの産生をストップし、骨芽細胞をたくさん働かせて骨を丈夫にしようとします。ここで言う「力がかかる」と言うのは噛む力(咬合力)のことです。
咬合力は上顎(うわあご)と下の歯の奥から3、4番目辺りの内側に集積すると言われています。
つまり、噛む力が強い人は上顎や下の歯の奥から3、4番目の歯の周辺の顎の骨が「ここは力がかかるから骨を丈夫にするために、たくさん骨を作ろう!」と骨芽細胞に働きかけて骨隆起が形成されていくのです。
じゃぁどうすればいいの?という事ですが…
咬合力が弱まってくると骨隆起は骨を溶かす「破骨細胞」にゆっくりと吸収されると考えられています。
しかし残念ながら、長年かけて作られた骨を吸収するのはかなり大変です。
なので、これ以上骨の形成を進めないようにすることが必要になります。
そのためには、歯や顎に力をかけないようにマウスピースをして力を軽減したり、くいしばりや歯ぎしりを減らしていく必要があります。
骨隆起自体は悪いものではないのですが、入れ歯になってしまった時に骨が当たって痛かったり、骨粗鬆症のお薬を使用されている方は骨隆起部に潰瘍ができてしまった場合、細菌が顎骨に感染し、顎骨壊死を起こす事があるので注意が必要です。
骨隆起が大きくならないうちに、歯のすり減りや負担軽減のためにも歯ぎしりやくいしばりをしている方はマウスピースをオススメします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
これからもお口の中でお困りの事があれば気軽にご相談下さい。そして検診でもお待ちしております。