高齢者の低栄養について

みなさんこんにちは。宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の山根です。ジメジメした暑い日が続きますね。夏バテで食欲がなくなりやすいですが、しっかり食べて、水分補給して熱中症予防をしっかりしていきましょう!

さて今回は、高齢者の低栄養についてお話ししていきます。現在、日本では少子高齢化が進み、平均寿命も伸び続けています。子どもをはじめとした若年層が減り続けるなか、唯一増加していくのは75歳以上人口だと予想されています。
高齢者は年を重ね、前期高齢者(65〜74歳)から後期高齢者(75歳以上)になります。要介護に至る要因を見てみると、前期高齢者では7位だった「高齢による衰弱」は、後期高齢者になると2位に浮上します。前期から後期へと至るまでに、衰弱にいたるなんらかの原因があると考えられます。
そもそもなぜ高齢になると衰弱してしまうのでしょうか。体力や筋力の低下、活動意欲の減退、社会参加の不活発化など考えられますが、日々の食事も大きな要因の1つだと考えられます。そして、慢性的な栄養不足は「低栄養」につながります。
低栄養とは、たんぱく質とエネルギーの失調障害です。野菜中心のあっさりとした食事などを毎日繰り返すことにより、じわじわと低栄養に陥っていきます。たんぱく質が不足すると筋肉が落ち、足腰も弱り、家に閉じこもるようになります。また、疲れやすくなり、脳の機能も衰えていきます。しかし、早い段階で食生活を改善できれば、衰弱ひいては要介護に陥るのを回避できる可能性があります。
高齢になると、うまく食べられなくなったり消化機能が落ちたりして、栄養も水分も充分に摂れなくなることが少なくありません。低栄養に陥ると、体重の減少、皮膚の炎症を起こしやすくなる、風邪などの合併症にかかりやすい、歩くのが遅くなった・よろけやすい、ボーッとしている、口の中や舌が乾いている、握力の低下などが起こってきます。これからが、転倒・骨折や持病の悪化、さらなる栄養摂取の困難につながり、要介護状態になるリスクを高めます。
低栄養とは、少し難しいですが、必要栄養量を食事から摂れない状態が続き、身体を維持するためのエネルギー(必要栄養量)の不足を補うために、体の中のグリコーゲン・脂肪・たんぱく質(筋肉)を分解していくことで起こります。特に注意が必要なのは、リハビリなどの運動をされている高齢者です。必要栄養量に対し、さらに運動量以上の栄養をプラスしないと、ますます体重減少が起こってしまい、せっかく運動をしても健康が悪化することになってしまいます。

食べられない要因は、口腔機能、身体機能、認知機能の問題など色々あり、一人ひとり異なります。ご本人だけではなく、周りの支えも必要になってきます。
人生100年時代といわれている今、元気に生きていくために「食事・栄養」について今一度考えてみてください!!私もお口の中だけではなく、患者さんの全身状態まで考えられるよう、日々努力していきます!