乳歯の虫歯、抜けるから放置してもいい?

こんにちは。宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の中島です。
もう3月も中旬!一度冬に戻ったような肌寒い日もありましたが、コロナウイルス以上に桜の開花や花粉などの春らしい話題をテレビで見かけるようになりましたね。私はここ数日、学校を卒業し春休みに入って検診を受けに来たお子さんや「来週卒業式なんですよ〜」「今日卒業式だったんですよ〜」と話されるお母さん方に接することが多く、もうそんな時期かぁ…と春を感じています。
さて、今回のブログのテーマになりますが。
「子供の虫歯、どうせ生え変わるんだから治療しなくていいんじゃない?」って思ってる方、多くないですか?…実は私も歯について学ぶまでは、恥ずかしながらそう思っていました。乳歯は抜けるし、口も歯も小さくて治療しにくいし、子供は治療を嫌がるし、ご家族も大変だし…痛くなかったら抜けるまで待ってたらいいじゃん!?と。
では実際どうなのか、少し難しいワードを砕きながらも解説を載せてみます!
結論から言うと、重度の乳歯う蝕(虫歯)を治療しないと、永久歯の障害につながることがあります!!なので、治療はもちろん必要です。
永久歯だけでなく、健康状態にも影響し、う蝕が原因の全身性疾患を発症する場合もあります。
まずは口腔内での局所的な作用には歯の痛み、咀嚼(噛む)能力の低下、永久歯への影響、不正咬合(悪い歯並び)の誘発などがあります。
う蝕が重度であればあるほど痛みも強く、歯の崩壊は咀嚼能力の低下につながります。
また、歯髄(歯の神経)にまで感染が広がると歯髄炎、さらに根尖や根分岐部病変(歯の根の病気)を形成します。
永久歯の歯胚(生えるのを骨の中で待機している永久歯の元)は乳歯の歯の根やその分岐部に存在しているため、形成途中の永久歯の歯胚に炎症がいくと、その炎症を避けるように永久歯の位置が動き、歯列の異常につながります。
特に乳歯の根尖性歯周炎が原因となってエナメル質形成障害が起きた永久歯を「ターナー(Turner)歯」と呼び、健全歯と比べてう蝕が進行しやすい
ことや破折しやすいことが問題となります。つまり、簡単に言うと新しく生えてくる永久歯でさえも脆く虫歯になりやすい歯になってしまうということです。
全身的な為害作用には成長不良、全身抵抗力の減弱、歯性病巣感染が挙げられます。咀嚼障害が生じることもあり、それによる偏食は栄養不良や免疫力の低下につながり、小児の成長に悪影響を与えます。
歯や歯周組織の感染が原因となって、離れた組織にも感染が及ぶことがあります。これが歯性病巣感染です。歯や歯周組織に感染している細菌が血液中に侵入し、血流にのって全身をめぐり菌血症を発生させます。発熱、リウマチ性関節炎、神経疾患、腎炎など多様な疾患が報告されていて、特に心臓に疾患のある小児では感染性心内膜炎のリスクもあります。
このように、乳歯のう蝕は乳歯のみならず永久歯や全身への弊害があります。
全身にも影響があると思うととても怖いですよね。子供だけではなく、もちろん成人のう蝕や歯周病も全身に影響があると言われています。
定期検診と治療は必要不可欠ですね。
新生活に向けて歯を綺麗にしたい!などどんなきっかけでも良いと思います。自分の健康のためにも歯科医院を受診されることをおすすめします\(^o^)/
季節柄、引っ越しや進学を控えている、予定までに早めに治したいなど事情があると思います。
歯の状態や治療内容によっては転居先の方で治療を始めることを勧める場合があったり、希望に添えない(間に合わない)こともあります。治療が必要な歯がないことを祈るばかりですが、なるべく時間に余裕を持って相談いただけるとこちらとしては嬉しいです。