虫歯リスクの低減

こんにちは。宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の高木です。
6月後半から毎日のように空は雨模様。学校のプールもせっかく開いたのにほとんど入れず登下校で水着をただただ持ち運びしている日が続いています。
さて、去年の夏にもスポーツ飲料と虫歯の記事を書きました。結局のところ酸性度が高いスポーツ飲料ではなく、アルカリ性の飲み物を飲んでいれば虫歯のリスクは高まらないのか…
そのような記事を見つけたので今回まとめてみました。
炭酸飲料など酸性度が高い食品が歯を溶かしたり虫歯のリスクが高いことは皆さんご存知かと思いますが、pHが高いアルカリ性の食品であれば問題ないのでしょうか?
糖を摂取後、プラーク中の虫歯原因菌は酸を産生し、プラークのpH(酸性<中性7.0<アルカリ性)が5.5を下回ることで、エナメル質からカルシウムやリンがイオンとして溶け出す。これを「脱灰」といい、初期虫歯の発症と考えられています。
一方、唾液中の緩衝作用により酸は中和され、初期虫歯は再結晶化「再石灰化」されます。
つまり、健常な口腔内では「脱灰」と「再石灰化」のバランスが保たれているのですが、そのバランスが崩れ、「脱灰」の時間が長引くと虫歯が進行します。
脱灰時間が長引く要因としては、糖の種類や摂取回数、摂取量、摂取に要する時間などが深くかかわっております。
昔からダラダラ食いは虫歯になると言われていますね。
また、酸蝕歯という言葉を聞いたことはありますか?酸蝕歯とは、口腔内の虫歯菌による酸が原因ではなく、飲食物や作業環境などの酸によって、エナメル質表層が脱灰され、実質欠損を生じたものをいいます。
ですので、酸性度の高い飲料水を頻繁に摂取すると脱灰時間を長引かせ、エナメル質を溶かしやすくなると考えられます。
ちなみに、俗にいうアルカリ性食品と酸性食品とは、食品を燃やした時に生じる灰の水溶液がアルカリ性なのか、酸性なのかで定義されています。
食用酢やレモン汁などはアルカリ性食品に分類されますが、実際は酸性(pH2〜3)です。アルカリ性食品だからといってエナメル質が脱灰しないとは限らないので要注意です。
以上のことから、アルカリ性の飲食物を頻繁に摂取したとしても、糖の摂取状況などにより、「脱灰」という環境に偏り、その状況が長引けば、確実に虫歯は発症することとなります。
口腔内をアルカリ性に傾けるのは難しいのですね。
したがって、虫歯菌の数を減らすための歯磨きやキシリトールの使用、歯質を強化するフッ化物の応用が大切だということです。