上下の歯、接触していますか?

こんにちは、みろ歯科歯科衛生士の中島です。

突然ですが、みなさんのお口の中で、今臼歯でも前歯でもどこか上下の歯が触っているところはありますか?
もしどこか一箇所でも触っているところがあるとすれば、それは「TCH」かもしれません。

TCHは顎関節症をはじめとする歯科的トラブルの原因となる可能性があります。一種の癖ですからご本人の自覚が難しい点がやっかいです!
TCHとは、安静時(機能していない時)にあっても上下の歯が接触し(contact)続ける(ing)くせ(habit)を指します。普段上下の歯を接触させている方が楽だという人がいますが、本 来は安静にしていると上下の歯の間には1~3ミリ程度の空隙があります(=接触していない)

つまり、何もしていない時上下の歯は接触していないことが普通です。歯の接触は、噛んでいる時や飲み込む時、発音する時などに起こるだけで時間にすると一日17.5分しかありません。しかし緊張する場面であったり、ゲーム操作など少し俯いて作業をする場合では、自然と下を接触させる状態になります。歯を接触させる状態が繰り返し続くとその状態に脳が慣れ、触れていることが普通になります。歯が触れた状態を長く続けてもそれに気づかなくなってしまう訳です。
短時間の接触ならば問題にはなりませんが 、本来は一日約20分程度しか接触していないはずのものを何時間も接触させていれば、筋や関節も徐々に疲労してきます。その疲労状態が続けば痛みになり顎の関節や口の中の異常として感じられます。

TCHをそのままにしておくと、歯茎などに力がかかり続けているため歯周病の悪化や繰り返す知覚過敏、原因が明らかではないのに歯が痛くなったり、歯の根の治療中歯の痛みが取れないといったことを引き起こす可能性があります。また舌や頬の粘膜を絶えず歯に押し付けていることで間違って噛んでしまったり、口内炎ができやすくなるほか、咀嚼筋が疲労して口の開け閉めや舌の動きが悪くなり発音が不明瞭になったりする可能性もあります。
さらに歯の詰め物に持続的な圧迫や揺さぶる力がかかり続けることで詰め物が外れやすくなったり、神経を抜いて弱くなっている歯にヒビが入ったり、インプラントのネジのゆるみにもつながる可能性があります。入れ歯の方では入れ歯を絶えず粘膜に押し付けているために、入れ歯の下の粘膜の血行が阻害され傷ができやすくなります。
またTCHがある人は歯根膜というもののクッションの感覚がいつも圧迫されていることでかみ合わせのセンサーが過敏になってしまい、また咀嚼筋の疲労も起こりやすくなっているため、どこで噛んでいいかわからない、という状態を引き起こしやすくなり、詰め物の調整が難しくなったりします。

◎TCHは気づくことが大事です。
癖は人から指摘されるまで気づかないということがあります。例えばすぐに髪を触るとか爪を噛むといったくせがそうです。自分ではなかなか気付けません。TCHもご自分では気付けないので、家の中に「歯を離す」とか「力を抜く」「リラックス」などのメモを見える場所に貼ってみましょう。それを見た時にもし上下の歯が触っていたら、鼻から息を吸いながら一度肩を大きく上げて一気に口から息を吐いて力を抜きましょう!これを繰り返すことで癖が自然に抜けていきます。

私もお口の中を拝見してTCHの特徴が当てはまる方がいた際には、こういったお話しをしていきたいと思います!