熱中症にはスポーツドリンク?

はじめまして、こんにちは!
宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の高木と申します。今年2月から勤務させていただいております。
どうぞよろしくお願いします。

私には小学生の子供が2人います。
6月からようやく学校が再開されました。
年々早い時期から暑い日が続くようになり、今年は早速高温注意情報が出され35度以上に達している地域が多いようですね。
そんな中の子ども達の学校生活や登下校はとても心配です。
熱中症予防の為水筒を持たせている方がほとんどではないでしょうか。
その水筒の中身、どんなものを入れていますか?
熱中症予防にはスポーツドリンクが良いと思っている方も多くいらっしゃるかと思います。
そこでスポーツドリンクについて調べてみました。

まず、ペットボトルのスポーツドリンク500mlには約30g(スティックシュガー10本分)の砂糖などが含まれています。
またpHも2.5〜5.5と低いので歯が溶かされます。

テレビの過剰な宣伝で体に良いと思い込み、中学校の部活の練習の合間にスポーツドリンクを積極的に飲み続けたお子さまは、10歳までキレイな歯をしていたのに18歳で急にむし歯が増えてしまいました。
通常の生活では急に悪くなることはありません。それ以上の歯を溶かす力が働いてしまったのです。

でもスポーツドリンクを飲ませないと脱水に…と心配になるかと思いますが本当でしょうか?
イオン飲料には経口補水液とスポーツドリンクがありますが、両者は混同されがちです。運動や下痢をすると体から水分だけではなく、ナトリウムなどのイオンも奪われます。これは汗が塩からいことからもわかります。
しかし水だけ飲んでも尿として排泄され細胞の中まで入りません。そこで開発されたのが経口補水液で、『飲む点滴』とも呼ばれ、水分・電解質・ブドウ糖が速やかに吸収されるよう調整されています。
現在、小児の軽度〜中等度の脱水に対して推奨されています。商品名としてはOS-1などです。
しかし、これらの欠点は、普通の状態で飲んでもおいしく感じないことです。逆に、脱水で体が欲していればおいしく感じます。すなわちおいしく感じれば脱水の疑いがあると考えます。
しかし、これでは一般消費者に対して売れません。そこで、スポーツドリンクには砂糖など6%が加えられています。飲みやすくするために味付けを重視し、本来の目的からズレてしまっているように感じます。
スポーツドリンクで電解質の補給と言いますが、意外と電解質は少なく、ナトリウムは経口補水液の1/3です。これではあまり効果がありません。
また砂糖が多いと、吸収が悪くなります。

スポーツドリンクはスポーツ時の水分補給や軽い発汗に対する飲料であり、脱水時の補水には不十分なので、清涼飲料水の一つと考えた方が無難です。
さらに過剰摂取は将来の生活習慣病につながります。

暑い季節で激しい運動や大汗をかいた時はまず水分と電解質が必要です。
しかし、市販の経口補水液は価格が割と高めですよね。
そこで、かんたんな経口補水液の作り方を紹介します。
①ペットボトルに500mlの水を用意する。
②食塩1.5gを入れる。
③ブドウ糖10gを入れる。
砂糖よりも吸収が早いのでブドウ糖の方が良いでしょう。
④レモンやグレープフルーツの絞り汁を少し入れるとおいしいです。
ただし、入れすぎると糖度が高くなり吸収が悪くなります。
これらを混ぜると出来上がり!
市販の経口補水液に比べ安価です。
スポーツによる脱水や下痢をした時、これを与えて下さい。

ただし、これらには、ナトリウムやカリウムがある程度含まれているので、高血圧や糖尿病、腎疾患のある方は注意が必要です。

むし歯や生活習慣病の観点からもスポーツドリンクはほどほどに、正しい水分補給をして暑い季節を健康に乗り切りましょう。