BP製剤について

あけましておめでとうございます。

宇都宮市みろ歯科の清野です。

今年は今までとは違った新年のスタートですね。様々な行事が中止・変更されてきましたが、私が毎年楽しみにしている箱根駅伝も無観客スタートとなりました。

毎年、六郷付近で姉と従姉妹が沿道で応援をしていたのですが、今年は一緒にテレビ越しでの応援となりました。

箱根駅伝は私の母が大ファンで、毎年2日3日はテレビのチャンネルを奪われ、幼い私は新年そうそう退屈を持て余していたのを覚えています。

しかし年を重ねるにつれ、毎年数多くのドラマや学生たちの絆に目頭を熱くし私もいつしか大ファンになっていました。

コロナ騒動が落ち着き、また今まで通りの日常が戻ったら山の神を生応援したいと思っています。

さて、今回の私のテーマは『BP製剤』です。

私が担当した患者様でここ数ヶ月BP製剤を服用している方が何人もいらっしゃいました。

しかし、ご本人が何の為に服用しているのか、歯科治療とどう関係があるのかをご存知ない方も多く、治療計画をやむなく変更しなければならなくなる事がありました。

今一度、BP製剤とは何なのか、そして歯科の分野との関係をご説明したいと思います。

BP製剤=ビスフォスフォネート系製剤(以下BP製剤)は、骨粗しょう症やがんの骨転移などに対し非常に有効なため、多くの方々に使用されています。

しかし最近、BP製剤使用経験のある方が抜歯などの顎骨に刺激が加わる治療を受けると顎骨壊死が発生する場合があることが分かってきました。

海外での報告では、抜歯を行った場合、骨粗しょう症で、BP製剤の内服をしている患者さんでは1000人中1~3人、悪性腫瘍に対して使用されたBP製剤の注射を受けている患者さんにおいて100人中6~9人の方に顎骨壊死が生じたと報告されています。

顎骨が壊死すると、歯肉腫脹・疼痛・排膿・歯の動揺・顎骨の露出などが生じます。

がん患者さんの骨病変に用いられる新たな治療薬としてヒト型抗体製剤であるデノスマブが2012年に承認されましたが、BP製剤と同頻度で顎骨壊死が起こるとの報告があり、併せて注意が必要です。

BP製剤を使用している患者さんで、歯科受診時に注意が必要な処置は以下のものがあげられます。

抜歯・歯科インプラント・歯周外科など顎骨に侵襲が及ぶ治療

1)

内服期間が3年未満でステロイド薬を併用している場合、あるいは内服期間が3年以上の場合は、BP製剤内服中止可能であれば、一般的には手術前少なくとも3カ月間はBP製剤の内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBP製剤は休薬していただきます。

2) 顎骨壊死の危険因子(糖尿病、喫煙、飲酒、がん化学療法など)を有する方もBP製剤内服が中止可能であれば、手術前少なくとも3カ月間はBP製剤の内服を中止し、手術後も骨の治癒傾向を認めるまではBP製剤は休薬していただきます。
3) BP製剤内服期間が3年未満で危険因子のない方に対しては、担当(処方)医師と相談の上通常のごとく口腔外科手術を行います。

BP製剤の休薬・再開などについては、担当(処方)医師と充分相談の上決定し顎骨壊死の発生予防に努めますが、上記の処置方針に従ったとしても顎骨壊死が生じる危険性があります。そのため、定期的な経過観察と口腔清掃の徹底が重要です。

初診日、久しぶりの再診日には必ず服薬の申告をお願い致します。また、服薬の変更もあれば随時最新のお薬手帳の提示をお願いします。