食べること

こんにちは!宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の飛田です。
新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
2020年は皆様にとってどんな1年になるのでしょう?!とても楽しみですね!

お正月が過ぎましたが年末年始はいかがお過ごしでしたか?初詣に行ったり、お出かけしたり、おせちなど美味しいものをたくさん食べられましたか?

今回は「食べる」ことについてお話したいと思います。人間にとって「食べる」という行為は、単に生命維持のために栄養を摂取することだけではありません。「食」を楽しむという心理的満足、生活リズムの調整、口腔機能の向上、唾液分泌の促進(自浄性の向上)、生活の質(quality of life;QOL)の維持・向上、コミュニケーションの手段など、社会生活を営むうえでさまざまな効果をもたらします。つまり、人間は「食べる」ことによって一定の活動レベルを維持し、社会のつながりを保っているのです。

そのようななか、徐々に「食べる」ことへの興味や関心が薄れ、意欲が低下するとどうなるのでしょうか?とくに高齢患者さんの「食の変化」が全身の健康にどう関わるのでしょうか。

まず、栄養が偏り、低栄養や筋力の低下を招きます。また、咀嚼回数の減少から唾液の分泌が低下し、口腔環境が悪化します。
さらに、一人で食べる(孤食)機会が増えると「食」を通じてコミュニケーションをとる機会が少なくなり、心理的満足が得られず、刺激の低下によって認知症を助長することも予想されます。

「フレイル」という言葉をご存知でしょうか?これは健常な状態と要介護状態の中間の状態を意味します。言い換えれば、要介護状態になる前の虚弱な状態であり、多くの高齢患者さんは健常な状態からフレイルの時期を経て要介護状態に至ります。つまり、フレイルを早期に発見することが健康寿命をのばす鍵になり得るのです。
そして、高齢患者さんの「食の偏り」や「食の変化」がみられる時期(以下、食の偏好期)を見逃さないことこそフレイルの早期発見につながると考えます。「食べる」という行為は、普段意識することなく行っていますが、高齢患者さんの食の偏好期は、潜在的に食べる機能や意欲が低下しているサインであり、低栄養や老人性うつ病、認知症の進行、さらには体重減少によりサルコペニア(筋力の低下がおこること)を進行されたりと悪循環(フレイルサイクル)につながりかねません。まさに、食の偏好期は、フレイルに突入する予兆、「フレイルの入口」であるといえるのです。

・1年間で4~5kgの体重減少
・疲れやすくなった
・筋力(握力)の低下
・歩行スピードの低下
・身体の活動性の低下
これらのうち、3つ以上当てはまるとフレイルと考えられています。年末年始で実家に帰省された方も多いと思います。たまに会う家族など、少しでもフレイルに当てはまったりしていないかなど参考にしていただけたらと思います。

みなさんも食事の際、食べ物を何回くらい噛んでいるかチェックして参考にしてみてください。
噛む回数1〜10回(食欲が低下していたり、噛む力が衰えている方でも比較的簡単に食べられます)
お茶漬け、茶碗蒸し、ヨーグルト、プリン、ゼリー、メロンなど

噛む回数〜20回(噛む回数が20回未満の食品を食べることが多い方は噛む回数が少なくなりがちで早食い傾向にあるため注意しましょう)
カレーライス、麺類、お好み焼き、ハンバーガー、ハンバーグ、焼き魚、オムレツ、冷奴、枝豆、いちご、もも、みかん、バナナ、ケーキ、ポテトチップスなど

噛む回数〜30回(毎日の食卓には噛む回数が30回以上必要となる食品を一品以上は取り入れるよう心がけましょう)
白米、餅、サンドウィッチ、五穀米、餃子、コロッケ、焼き鳥、魚肉ソーセージ、浅漬け、かぼちゃの煮物、れんこんの煮物、フライドポテト、大福、シュークリーム、おはぎ、羊羹など

噛む回数〜40回
トースト、チャーハン、ピザ、コーンフレーク、焼肉、唐揚げ、エビフライ、厚揚げ、ブロッコリー、キャベツ、カステラ、りんご、かりんとう、干し芋など

噛む回数〜50回
フランスパン、煮干し、するめ、きんぴらごぼう、せんべいなど