お口ポカンでインフルエンザになりやすいのはなぜ?

こんにちは!宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の中島です。

ついに、今年もあと1ヶ月を切りました。日中との寒暖差も出てきて、乾燥する時期でもありますが、それにあたってインフルエンザが流行し始めていますね。今年は9月時点で昨年同時期よりも患者数が約10倍以上、また例年より2ヶ月早く流行しているとのことです。

さて、タイトルにもありますが、お口ポカン(口呼吸)がインフルエンザになりやすいと言われています。

ではなぜでしょうか?クイズを交えながら、解説してみたいと思います。

★クイズ★ガーゼマスクの網目をトンネルの大きさとした時、インフルエンザのウイルスはどのくらいの大きさになるでしょう?
①ウシ  ②イヌ ③アリ
→正解は、③のアリです。
【インフルエンザウイルスはマスクの穴を通る】
ウイルスの大きさは、約0.01um(1umは1mmの1000分の1)。一般に使用される、不織布マスクの網の目ですら、5um程度です。

だとしたら、マスクには予防効果がないことになります。

しかし、もちろん効果がないわけではありません。その理由について考えてみましょう。

☆クイズ☆モンゴルでは冬には気温がマイナス40℃ぐらいまで低下することがあります。この空気を鼻から吸い込むと、喉の奥では何度ぐらいになるでしょうか?
①マイナス20℃ ②0℃ ③20℃ ④30℃
→正解は、④。
【鼻の中では暖房が効いている!】
なんと30℃近くまで温度が上がります!実は人が何℃の空気を吸っても、喉の奥では体温近くまで上昇します。

鼻腔はさまざまな防御作用を持っています。入り口には鼻毛が生え、鼻腔・喉頭・気管などの粘膜には線毛上皮細胞があります。

長さ0.1mm、直径0.001mmの線毛は、1秒間に20回以上の速さで活発に動いています。

同時に粘液で満たされ、ここにチリやホコリ、細菌、ウイルスが付着します。

そして、まるでベルトコンベアのように異物を運び、体外に排出します。

しかし鼻腔中の温度が低下すると線毛の働きが鈍くなります。

また肺も冷気に弱いです。したがって、常に吸った空気を鼻腔で温める必要があるのです。

★クイズ★
唾液は口の中で1日1~2ℓ(牛乳ビン約5~10本分)分泌されています。実は鼻腔からも水分が分泌されますが、それはどのくらいでしょうか?
①牛乳ビン1本分 ②牛乳ビン5本分 ③牛乳ビン10本分
→正解は、②。
【鼻は優れた加湿器!】
牛乳ビン5本分(約1ℓ)ですが、どうしてこんなに多いのでしょうか?

1つは臭い物質が水分に溶け、脳が「ニオイ」として感じるために必要だからです。

そしてもう1つの理由は、肺で呼吸を行うためです。

というのも、肺は寒さだけではなく乾燥にも非常に弱いのです。(冬の早朝に、口をあけて歩くと肺が痛くなるのはこのためです)。

人はかつて魚類から進化しました。魚類は水中で酸素を採り入れ、二酸化炭素を出すエラ呼吸をします。

陸上で呼吸する人の肺は、魚類のエラが体内に入ったものと考えられます。

そのため、人の肺は乾燥に弱く、湿度100%に保たれています。これは、冬に吐く息が白く見えることからもわかるでしょう。

【インフルエンザウイルスは湿気に弱い】
インフルエンザウイルスは冬に流行します。

このウイルスは、乾燥に強く湿気に弱い性質があります。夏に流行しないのはこのためです。
インフルエンザウイルスが100いるとすると、気温20℃湿度60%の状態では6時間後に5%しか生き残れません。

しかし、湿度30%の状態では約半数が生き残ります。

湿度が30%から60%に上がると、ウイルスは1/10に減少することがわかります。
口呼吸では、乾燥した空気が直接喉の奥の粘膜まで達するため、ウイルスが侵入しやすいのです。

しかし、鼻呼吸では湿気のバリアのおかげでウイルスからられます。まさに、鼻は天然のマスクと言えます。

さて、インフルエンザウイルスは空気中に浮遊しているチリやホコリに付着して漂っています。

チリやホコリに付いたウイルスはマスクを通ることはできません。

さらに、ガーゼマスクであればマスクそのものに咽頭部の加湿効果があるので、ウイルスの侵入を抑えます。

マスクは無意味ではないですが、何よりも鼻呼吸するということが重要と言えます。
最近は市販でも鼻呼吸を促すような口呼吸防止用テープなども扱われていたり、加湿をし口呼吸を抑制する濡れマスクといった方法もありますね!

私は先日インフルエンザの予防接種を受けて来ましたが、予防接種をしたからと言ってインフルエンザにならないという訳ではありません。

また、私は鼻炎で鼻が悪いことからつい口呼吸になり、起床時に喉が痛くなることがあります。

最近では就寝時にマスクをするなどの鼻呼吸対策をしています。
院内感染を防ぐためにも対策と体調管理をしっかりとしていきたいと思っています!みなさんも気をつけましょう!!