乳歯の歯列不正の原因②

こんにちは。宇都宮市みろ歯科、衛生士の石黒です。
最近凄く寒くなってきましたね(>_<)
これからクリスマス、お正月と楽しみな行事が待っていますが私は今年はお家でゆっくり過ごそうと思っています。皆さんも体調には気をつけて過ごしてくださいね^_^
さて、今回は前回に続いて小児の歯列不正の原因についてお話ししていきます!
〜口呼吸〜 舌癖や口唇閉鎖不全につながる
全身の健康にも、歯並びにも悪影響がある
 小児期は、アレルギー性鼻炎などで鼻閉症状を訴える子供が多いです。鼻がつまっていると必然的に口で呼吸せざるを得ません。鼻は天然のマスクと言われ、吸い込んだ空気からウイルスを除去したり、保温保湿をして喉を守ります。口呼吸になると、口腔内を乾燥させ唾液のはたらきを阻害したり、ウイルスやアレルギーの原因を除去できなかったり、頭がのぼせてボーッとするなどの悪影響がでてしまいます。
 また、口呼吸は空気を通る道を確保するために舌が下に下がるため、舌癖の原因となります。さらに、口呼吸で口をいつも開けていることになり、口元がゆるく、ポカンと口が開いているような口唇閉鎖不全の原因にもなります。ぷっくりと太い唇は、富士山唇やアヒル口と言われ人気があるようですが、くちびる周りの筋肉が弱いということで、本来は理想的ではありません。口を閉じることができていないと、前歯部をくちびるで抑える力がかからないため、前歯が前に突き出してしまう原因となります。結果として舌癖に併発しやすい、口腔習癖として口呼吸・口唇閉鎖不全は開咬の原因になるといえます。
〜クレンチング〜 過蓋咬合につながる
咬みしめが強いと咬み合わせが深くなる
 咬みしめが強い場合、成長過程で咬み合わせが深くなり、咬んだときに下の前歯が見えなくなっていくことがあります。これは、力がかかることによって咬み合わせの高さがとれなくなっている状態です。その力がほかにも歯並びや顔の形にさまざまな影響を与えています。
 歯並びは、特に下あごは咬むと内側に力が加わるため、影響の受けやすい下あごの前歯が内側に倒されて歯が重なってしまいます。筋肉質の人は背が伸びないという話を聞いたことはありませんか?咬む力が強いと下あごの筋肉により骨の成長が抑えられてしまい、下あごの骨も伸びないため顔の形はエラが張っていて四角になることが多いです。顔の形の好みもありますが、歯は力で悪くなる側面もあるので、子供の頃から力のかかりすぎには注意が必要です。
〜偏咀嚼〜 歯列や顔貌の歪みにつながる
偏咀嚼は歯並び、顔の歪みの原因となる
 日常の咬む習慣が片側に偏っている状態を偏咀嚼といいます。偏咀嚼により上下の前歯の真ん中のずれが起こるとともに、歯並び、顔の形などは歪んでいきます。たとえば、上あごの歯並びは咬み癖がある側が叩かれることにより拡がる傾向が出てきますし、逆に下あごは狭くなる傾向が出ます。
 咬み癖のある側がすり減ったり叩かれて上がっていくので、咬み合わせのラインは、斜めに傾いていきます。それにともない、顔の形も咬み癖のある側上がりにくちびるが傾き、圧迫を受けた側の目が細くなり目尻が下がります。あごの先端も歪んで咬み癖がある側に曲がっていきます。このように、顔の形は咬み癖で大きく歪んでしまいます。顔は左右対称のほうが整って見えると言われているので気をつけましょう。
〜咬唇癖〜 上顎前歯の前突につながる
咬唇癖がさらに咬唇癖を呼ぶ
 乳歯のときは前歯の歯の長さが短いのでくちびるが挟まりにくく、出っ歯になりにくいです。また、前歯が永久歯に生え換わった直後から出っ歯になっているようなケースは少ないです。乳歯より歯の長さが長い上の前歯に下くちびるを引っ掛けるような咬唇癖が始まると、下くちびるに押されて上あごの前歯は前に突出し、出っ歯の状態になります。
 そして、その咬唇癖によって上の前歯が下くちびるに押されて前に出てくると、必然的に下くちびるがその隙間に入りやすくなることでさらに咬唇癖がすすみ、悪循環になっていきます。下くちびるの巻き込みが大きいと下の前歯も内側に入って歯が重なってくる傾向が出やすく、さらにくちびるは入りやすくなります。このように、前歯が永久歯に生え替わった後からどんどん前歯が出て悪化していくことが多くあります。
〜舌小帯強直症〜 舌が動かしにくいため低位舌につながる
スポットポジションに舌尖が届くよう機能訓練が必要
 舌の裏にあるヒダ(舌小帯)の長さが短かったり、太かったり、ヒダの位置が悪いと舌の動きを制限してしまいます。舌の動きが妨げられていると、舌を上に持ち上げることができずに舌が低い位置に固定されてしまいます。舌小帯によって舌の動きが制限されていると判断した場合、舌の先がスポットと呼ばれる上の前歯の根元の膨らみに届くように舌小帯を伸ばす練習をします。
 舌小帯の張りがひどくて舌があまり動かせない状態だと、そもそも舌を動かしたことがないため、舌を動かす筋肉は発達していませんし、舌を動かせるという感覚すらないことがあります。まったく動かせない状態だと、機能訓練の足がかりすら難しいこともあるので、舌の動きを制限するような舌小帯を積極的に切除し、舌を動かしやすくしてから、機能訓練をすることもあります。
以上で小児の歯列不正の原因についてになります。自分のお子さんに何か異常を感じたらいつでも当院の先生や衛生士に相談してくださいね(^^)