新型コロナウイルスと歯科

こんにちは!宇都宮市みろ歯科の歯科衛生士、中島です。

あっという間に今年も4月、新年度になりました。早いものですね…!

新社会人や学生の皆さんは特に新型コロナウイルスの影響を受け、入学・入社・卒業式など思うように出来なかったり、思い描いていた新生活も始まらず…、とストレスも溜まっている方も多いのではないでしょうか。さらに休校などに伴い、お子さんの食事や生活などフォローしながらより忙しく働く家族の方もいらっしゃると思います。
自粛によって職を失う方も居れば、外に出て働かざるを得ない方、身を削って私たちの生活を助けてくれる方もいます。そんな様々な報道を見て改めて、この社会は色んな人達で支えられているのだと日々感じています。
また、日本で使われている物資が外国で生産されていたり、観光地では来日した外国人のおかげで日本の経済が回る…ということもあります。これは日本だけの問題ではないですね。

「みんな外にいるし、自分は基礎疾患もないし、若いし、栃木県の発症者はまだ少ない、そんな簡単にはかからないだろう」と甘く考えてる人もまだ多いと思います。
栃木県では、1人目の感染者が確認されたのは2月22日でそれから約2ヶ月。3月下旬から現在まで3倍以上に増加しています。そして、22日までの不要不急の外出自粛が呼びかけられています。見えないウイルス、発症していないけど自分が持ってることもある、自分が間接的に人を苦しめる・殺してしまうことがあるかもしれない。そんな危機感を持って生活していかなければいけません。

さて、タイトルにもありますが、新型コロナウイルスと歯科についてぜひ皆さんに知って欲しいことがあります。

ここに書いてあることは、信じたくないですが、すべて事実です。

アメリカのニューヨークタイムズでは、新型コロナウイルスの感染リスクの高い職業として、1位 歯科衛生士(Dental Hygienists:図の右上にある程リスクが高いという見方です)、2位 口腔外科医、3位 歯科助手、4位一般開業歯科医 となっています。

さあ、なぜでしょうか?
考えてみましょう。

新型コロナウイルス感染拡大を受け、集団でのウイルス感染(クラスター)を防ぐために国や自治体が避けるべき場所や条件として呼びかけているものとし、3つの密があります。
「3密」とは、①換気の悪い「密閉」、②空間多数が集まる「密集」場所、③間近で会話や発生をする「密接」場面。以上の条件を指し、これらの条件がそろう場所は「クラスター発生」のリスクが高まると言われています。また、「3密」が重ならない場合でも、いずれかの「密」が当てはまるような場所などは感染のリスクが高いと言えます。

〇新型コロナウイルス感染症にはどのように感染するか?
現時点では、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられます。
①飛沫感染…感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。
②接触感染…感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れると感染者のウイルスが付きます。未感染者がその部分に接触すると感染者のウイルスが未感染者の手に付着し、感染者に直接接触しなくても感染します。(※感染場所の例:電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなど)

3密について、歯科医院はどうでしょう?
①密閉→プライバシーの保護の観点から個室やパーテーションが多く、換気のできるような窓や扉も少ない。
②密集→不特定多数の人(患者)が集まる可能性が高く、それぞれの交通手段や仕事、家庭、コロナ対策が出来ているかどうかなどの環境は様々。
③密接→診療において、医療従事者と患者さんの距離がとても近い。

対策のひとつとして、ソーシャルディスタンス=2mの距離をあけることとありますが、2mなんて離れたら手が届きません!話もできません!むしろ歯が見えませんね。

〇感染経路から考えてみると?
①飛沫感染、②接触感染のどちらともリスクが高いです。
歯科で虫歯の治療時に歯を削る際に使うタービン、クリーニングの際に使う超音波スケーラーは、「エアロゾル 」といった5マイクロメートル未満の飛沫や空気中に含まれている霧のような微粒子を発生させます。新型コロナウイルスはエアロゾルの中で3時間以上生存、空気中を浮遊するといわれています。つまり、新型コロナウイルスに感染した患者さんをエアロゾルを発生させる器具を用いて治療をしたとしたら、その後3時間は空気中にウイルスが浮遊して、その中で口を開けて治療することにもなるということです。国内でエアロゾルによって感染したことを示す証拠は見つかっていないですが、こういった条件から歯科医院はスタッフ側にも患者側にも感染のリスクが高く、クラスターにもなり得るということがあると思われます。

☆当院では、できるだけ感染のリスクを少なくするために下記の対策をしております。

①治療ごとの診療台の拭き取り消毒
②レントゲン撮影ごとの拭き取り消毒
③通気性を高めるためのドア等の解放、そして空気清浄機、送風機の活用…そのためひんやりとした外気が入ってくることがありますので、エアコンを利用し温度調整をしております。気分が悪くなった、寒いなど何かありましたらお申し付けください。
④待合室の雑誌やおもちゃ類の撤去
⑤消毒剤による患者様の手指消毒の励行。…待合室に洗面台・ハンドソープ・アルコール消毒を設置しておりますのでお使いください。
ご協力よろしくお願いいたします。

※感染防止のためマスクをつけて来院される患者さんが多いですが、外す際にマスクの表面を触っていたり、外した後のマスクをそのまま外に晒して保管される方が多くいらっしゃいます。
耳にかける部分を持って外し、マスクを保管するケースがないのであれば、ビニル袋等に入れるなど清潔・不潔に考慮して使ってみましょう。これも自分や周りを守るためです。歯磨きと同じで、ただ “しているだけ”では意味がありません。

私達スタッフも感染を防ぐため、常時マスクの装着、飛沫が起こる処置に関してはフェイスガードの装着、各診療台・器具器材の衛生管理や手指消毒、体調管理に努めております。
マスクに関しては、安心感を与えるために必要な笑顔をお見せすることが出来ずとても心苦しいですが、感染防止のためご理解ください。
対策はしているものの、職業柄自分は感染しているかもしれない、感染したかもしれない、広げてはいけないと日々緊張感や恐怖感と戦いながら生きています。

★最後になりますが、厚生労働省は8日までに歯科医師に対して、新型コロナウイルスの院内感染防止のため、「歯科医師の判断により、(治療は)応急処置にとどめることや、緊急性がないと考えられる治療については延期することなども考慮すること」とする事務連絡を出しています。

このような提示だと、緊急性のある治療はなんなのか?患者さんが必要としている治療は全て緊急性があるのではないか?という線引きの難しさや曖昧な点もあると感じています。

当院では、ここ最近定期検診のキャンセルや延期などの連絡が増えております。受付スタッフは現在1人で全ての対応に回っておりますので、お電話が繋がりにくい・出られないということもあります。ご了承ください。
可能であれば、当日ではなく前日もしくは数日前にキャンセルの連絡をいただけるとありがたいです。

また、「コロナが流行っていますが治療しに行っても大丈夫ですか?」というお問い合わせがたまにあります。しかし私たちからは正直、YESともNOともお答え出来ません。

あくまでも私自身の個人的な答えとしては、新型コロナウイルスにおいて歯科医院での受診に対し少しでも不安・心配をお持ちの方や、職場などでの自宅待機の指示がある方(自宅待機、自粛の意味を理解してください)、熱や咳、味覚や嗅覚の異常など新型コロナウイルスと思われる症状がある方は、特に受診を控えて頂きたいと思っております。

反対に、根(神経)の治療をしている方は中断すると最悪骨までも腐らせてしまうことがあるので、せめて根の治療が終了するまでは通院して頂きたいです。また、突然の腫れや痛み、審美に関わる部位(前歯)の詰め物が取れた、事故などによる外傷等に関しては緊急性があるものと思われます。

医療現場では実際にマスク、グローブ、ガウン、エプロン、消毒液、ペーパータオルなどの衛生用品が不足しております。お辛い思いをしている患者さんを守るべく助けるべく診療するためにどの病院も歯科医院も必死です。
発注して次の日に手に入れられていたものが、今では何ヶ月も手に入らないし、発注さえもできません。歯科医師・衛生士の努力(各ネットワークを通じて、他院での対策の情報や工夫などを教えて頂く、買わなくても手作りできるものは作る、または代用するなど)や各業者さんの協力もあり今はなんとか診療ができるようになっています。
当たり前が当たり前ではないと思い知らされる毎日です。当たり前に学校に行けない、仕事が出来ない、友達と遊べない、家族と出かけられない、恋人と会えない。みんな、できないことばかりで辛いです。でも、自粛していかなければこのできないことばかりが続いていきます。

みんなが知る大スター、志村けんさんも新型コロナウイルスによりお亡くなりになってしまいました。この報道でコロナの恐ろしさをより身近に感じた方もいらっしゃると思います。私もとてもショックで、未だお亡くなりになられた実感は湧きません。家族と面会もできない、最期を送ることもできない、こんな悲しいことってあるでしょうか。本当にコロナが憎いです。これは、他人事ではありません。

この憎き新型コロナウイルスが、一刻も早く終息しますように。

みんなで頑張りましょう。Stay Home!