世界の子どもの歯科事情⑥-1

こんにちは!宇都宮市みろ歯科受付鈴木です。

昨年おもてなしディナーということでローストビーフをつくりました。

その隣はクロックムッシュ、意外と簡単にできるものだなとちょっと拍子抜けしました。

ケーキ以外にも料理を習っていていろいろ発見があるこの頃です。

今回も世界の歯科事情の紹介です。今回はタイの歯科事情についてお話していきたいと思います。

 

〇タイってどんな国?

 正式名:タイ王国

 首都:バンコク

 国土:513.120㎢

 人口:6.572万人(2015年)

 1人当たりGDP:6.591ドル

 タイは東南アジアの中心に位置し、ミャンマー、ラオス、カンボジア、マレーシアと国境を接しています。民族的にはタイ族が約85%、他にモーン・クメール系、マレー系、ラオス系、インド系がいて、山岳部には特徴的な文化や言語を持った少数民族が暮らしています。

 タイでは仏教徒が9割以上を占めており、国内には数多くの寺院や仏像があり、信仰深い人が毎日お祈りしています。タイの料理はスパイスをきかせた辛味のあるものが特徴的で、日本でもトムヤムクンやパッタイなどの料理が有名です。

 

〇歯科医療保険制度

 1.歯科医療従事者

 1990年以降、タイでは歯科大学が新たに設置されて歯科医師は増加しています。1990年当時の歯科医師数は3.008名でしたが、2000年には6.200名、2005年には8.443名と増加し、2015年には登録歯科医師数は男性5.078名(35%)、女性9.494名(65%)、計14.572名となりました。歯科医師1名あたりの人口は全国平均で1:4.588となっています。しかし、歯科医師の分布には大きな地域差が認められ、都市部に多く、地方は少ない状況です。

 タイでは歯科専門医として、小児歯科学、矯正学、歯内療法学、歯周病学、保存修復学、補綴学、口腔外科学、歯科公衆衛生学、口腔診断学、総合歯科診療学が認められています。一般的には、患者は紹介状をもって歯科専門医を受診しますが、直接、歯科専門医を受診することも可能です。

 タイにおける他の歯科医療従事者には、デンタルナース、歯科助手、歯科技工士の職種があります。デンタルナースは保健省管轄の公的医療機関で働いており、民間医療機関で働くことは許可されていません。また、歯科助手と歯科技工士には登録制度がありません。

 2.歯学教育

 タイには、国立大学が11校、私立大学が2校、計13校の歯科医師養成機関があります。教育年限は日本と同じ6年制です。これまで、タイでは歯科医師国家試験制度はありませんでしたが、2011年から歯科大学卒業後の学生に国家試験が課せられるようになりました。臨床と基礎科目に関する筆記試験と実技試験があります。

 歯学大学を卒業した後の臨床研修の義務はありませんが、タイのDental Councilは卒後研修を受けるよう推奨しています。公立の歯科大学の卒業生は、公的医療機関で一定期間働くことが義務付けられています。歯科大学卒業後にすぐに民間医療機関で働くことを希望する場合には、政府に授業料の一部を返還しなくてはなりません。公的医療機関で働く歯科医師は、毎月一定の給料をもらう公務員ですが、遠隔地で働く場合には給料が高くなります。現在、約半数の歯科医師が公的医療機関で働いています。

2.公的機関と民間機関による歯科医療の提供

タイにおける公的な歯科医療サービスは、公務員の歯科医師によって保健省管轄の地域病院や保健センターなどにおいて、全国レベルで提供されています。地域病院においては歯科医師が歯科治療を患者に提供しますが、地方の保健センターでは常勤の歯科医師はおらず、デンタルナースが簡単な予防処置などの歯科治療を提供しています。

 他の公的歯科医療サービスとしては、防衛省による軍隊病院での歯科治療や、教育省による歯科大学附属病院での歯科治療があります。歯科大学附属病院では、主に歯科学生が患者に治療をしています。また、学術研究を行う目的もあって、2次、3次病院としての複雑な疾患を有する患者の治療を行っています。

 民間による歯科医療サービスは、私立の病院や開業歯科医院はバンコクなどの大都市に集中しており、地方には少ない状況です。そのような地域では、公務員の歯科医師が平日の診療終了後の夜間や休日に、自分の歯科クリニックを開業して、治療を行っている場合もあります。

(次回に続く)