世界の子どもの歯科事情⑤

こんにちは!宇都宮市みろ歯科受付鈴木です。

最近またケーキを作りました!上はレアチーズケーキ下はベイクドチーズケーキになっています。2段になった贅沢なチーズケーキです。少しづつですが、レパートリーとレシピが増えていて今後もいろいろな物が作れるようになりたいです。

今回も世界の歯科事情の紹介です。今回はベトナムの歯科事情についてお話していきたいと思います。
〇ベトナムてどんな国?

正式名:ベトナム社会主義共和国
首都:ハノイ
国土:330.957㎢
人口:9370万人(2017年)
1人当たりGDP:2.354ドル
ベトナムは、東南アジナのインドシナ半島の東側に位置する国で、世界で13番目に人口の多い国です。国民の30%が都市部に、約70%が地方に住んでいます。平均寿命は男性70.7歳、女性75.9歳です。
ベトナムには、中国や植民地統治下のフランスの影響を受けた料理がたくさんあります。基本的には米食文化ですが、フランスパンのバケットなども好まれて食べられています。ベトナム料理は生野菜や香草類をふんだんに使い、ヘルシーなことから、日本でも人気があります。

〇歯科医師以外の歯科医療従事者
ベトナムに歯科医師を補助する職種として、歯科助手、歯科技工士の3つの職種があります。

・デンタルナース(デンタルセラピスト)
デンタルセラピストのプログラムは、1973年ホーチミン医科技術学校で、ニュージーランド方式の歯科看護師の教育が開始されました。このプログラムは2001年に終了し、現在はデンタルナースのプログラムに引き継がれています。
デンタルナースの学校は全国に5校あり、高校卒業後に2年6か月の教育を受けます。デンタルナースの職務には、患者や住民の保健指導、予防処置、スケーリング、乳歯の抜歯などの簡単な治療などがあります。デンタルナースは小学校で健康教育の行い、学校歯科クリニックでは歯科医師がいなくても独立して働くことができます。

・歯科助手
歯科助手は高校卒業後に6か月間の歯科研修を受けます。歯科助手は歯科技師の指導のもとでのみ働くことができます。歯科助手は歯科医師の治療の補助を歯科医院のチェアサイドで行います。歯科助手は歯科保健指導を患者に行うことができます。

・歯科技工士
歯科技工士を目指すものは、大学で4年間教育を受けて学士を取得する場合と、専門学校で2年6か月の教育を受けて歯科技工士になる方法があります。卒業後は歯科技工所で働けますが、免許が取得できるのは卒業後1年半経ってからです。また、少なくとも3年間歯科技工所で勤務した後で、自分の歯科技工所を開設することができます。

〇ベトナムの歯科事情

ベトナムでは、ヘルスケアは公共および民間の医療機関によって提供されています。民間医療機関は、主に外来患者の治療が中心です。公共医療機関の医療政策、予防対策、研究推進、医療従事者の養成に対して中心的役割を果たしており、入院患者の治療は100%公的医療期間が提供しています。
また、保健省の管轄のもと、県・市・町・ムラといった行政単位の下で公的医療機関は整備されていて、全国にある774の一般病院、136の専門病院、11.576のプライマリーヘルスケアセンターによるネットワークがあります。

〇歯科医療保険制度
歯科医療保険制度
◇月々の保険料は月給3~4.5%である。
◇6歳以下の子どもと85歳以上の高齢者の保険料は政府が負担する。
◇低所得者や学生などの保険料は、政府からの助成金ある。
◇保険診療は、公的病院や保健センターで行われるが、開業歯科医院での治療はすべて適用外である。
◇保険では、義歯、インプラントなどの補綴処置と矯正治療は適用外である。
◇歯科治療費の80%は保険で支払われ、残り20%は自己負担である。
◇6歳以下の子どもは、100%、低所得者は治療費の95%が保険で支払われる。

国レベルの口腔保健事業は、ベトナム保健省の健康管理課と予防医学課のもとで実施されています。ホーチミン及びハノイにある国立病院の歯科口腔外科および歯科保健管理・研究センターは、ベトナム保健省の直轄であり、国全体の歯科保健に関する責務を担っています。各都市で地域においては、国立病院の歯科口腔外科の直接の管理下にある一般病院の歯科が口腔保健事業の中心となっています。

また、大都市では、地区に歯科口腔外科がありますが、山岳地帯や都市から離れた地域には歯科医療機関が全くない場所もあり、住民が歯科医療を受ける機会はありません。ベトナムの公的医療制度は、1993年に開始されました。

〇学校における口腔保健プログラム

保健省と教育省の支援のもと、学校における口腔保健プログラムとして、健康教育、フッ化物の応用、定期健診と早期治療、シーラントなどが実施されています。健康教育は、歯科医師、デンタルナース、教師や養護教諭、歯科学生などが行います。

正しい歯の磨き方、健康的な食習慣、定期的な歯科受診など、歯や国の健康の大切さを強調し、口腔疾患の予防に関する基本的な知識を提供します。幼稚園や小学校の中に歯科クリニックが設置されている場合には、歯科医師やデンタルセラピストが定期的に歯科検診を実施し、乳歯の抜歯、歯石除去、充填、歯肉炎治療などの歯科治療やシーラント処置を行っています。治療費はすべて無料です。
ベトナムでは、日本のようにすべての学校歯科医が配置されているわけではありません。上述した口腔保健プログラムを推進しているのは都市部の一部の学校です。例えば、ホーチミン市では約半数の小学校に歯科クリニックが設置されていますが、地方ではそのような小学校はなく、その取り組みには地域差が認められます。
現在、学校において定期的な口腔保健プログラムに参加しているのは、1200万名の小学校児童のうち、半数の600万名です。5つの県では、このような学校プログラムは全く提供されていません。また、一部の地域を除き、幼稚園での口腔保健プログラムはほとんどなく、未就学児の乳歯う蝕の増加が大きな社会問題になっています。

〇モデル校の見学

学校歯科のクリックでは、デンタルチェアが2台あり、常勤の歯科医師やデンタルナースが歯科治療および健康教育を行っています、部屋の壁には、歯に良い野菜や果物などを示す展示物が掲示されています。しかし学校内にある売店をのそくと、甘味食品がたくさん売られています。10時になると、休憩時間を告げるベルが鳴り、児童生徒が校庭に出て、教師の号令や音楽に合わせて一斉に体操を始めます。その後、こどもたちは、学内の売店や門の外の屋台で、自由に好きなお菓子やジュースを購入して、友達と一緒に楽しく食べ始めます。ベトナムの小学校は始業時間が朝7時と早いので、午前中に間食タイムがあります。また、学校歯科クリニックで歯科治療を行った記録はありますが、歯科健診のデータは記録しておらず 、学校保健データとして報告するシムテムになっていません。
幼稚園においても、歯科検診や歯磨き指導を定期的に行っているところはありますが、朝、最初に砂糖入りのミルクを全員に飲ませている幼稚園もありました。砂糖を入れないと飲まないので、砂糖入れざる得ないとのことでした。子どもの口腔内を診るとランバント・カリエル(進行したう蝕が、一度に多数の歯にみられる状態)の子がたくさんいました。今後ベトナムでは地域差をなくして予防の知識を実践に結び付ける努力が必要と考えられます。

〇まとめ
ベトナムには、歯科疾患の予防と治療を行う口腔保健プログラムを実施している学校があります。しかし、学校の売店では主に甘味飲食物が売られており、食育に関する取り組みを導入することが必要と思われます。