災害時のオーラルケア

こんにちは!

宇都宮市みろ歯科 歯科衛生士の岸本です。

先日の台風19号で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

当院は台風が上陸した土曜日の午前中まで診療していましたが、スタッフも診療室も無事です。台風の影響もあまりなく週明けから通常通り診療を開始しております。

命の危険を感じながらも、大雨の中来院してくださった患者様ありがとうございました。

来てくださって心強かったです。

最近の台風は勢力が強かったり、今までとは違うタイミングできたりと予想できず怖いですよね。私も万が一に備えて色々購入しようと思いましたが、結局当日もガスボンベとガスコンロだけは購入できませんでした。

焦って備えるのではなく、余裕を持って万が一に備えようと改めて思いました。

さて、本題に入りますが今回の台風のように自然災害は予想できません。

水を購入された方は多かったと思いますが、歯ブラシや液体ハミガキを購入された方はいらっしゃいますか?

もし災害時、水もあまりない、歯ブラシもないとなったらあなたはどうやってお口のケアをしますか?

しないと答える方が多いと思いますが、実は災害時の口腔保健(オーラルケア)は、お口の健康だけではなく、身体の健康にも影響するのです。

  災害時の口腔ケアの重要性が叫ばれるようになっ たのは、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけだったそうです。この震災で生じた災害関連死の約4分の1に及んだのが、肺炎で、そのほとんどは誤嚥性肺炎であると考えられたことから、徹底した口腔ケア による肺炎予防が災害時の重要課題とされました。 

 東日本大震災では、地震発生から約12週間後 に肺炎で死亡した人の数が最も多かったと報告され ています。震災直後から口内で増え始めた細菌は、 たった12週間のうちに誤嚥により肺に移動して、致命的なまでに増殖したのです。

 避難所生活や水不足で口の中を清潔に保つことができないと、お口の中の菌でも身体に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に肺炎になりやすい高齢者の方は注意が必要です。

 口は肺への入り口です。避難所生活や水不足で口の中を清潔に保つことができないと、高齢の方では誤嚥性(ごえんせい)肺炎がおこりやすくなるので注意が必要です。

◯誤嚥性肺炎とは口の中の細菌が原因?!

本来、食道を通るはずの食べ物や唾液が、日常的に誤って気管に入り込み、唾液とともに流れ込んだ口の中の細菌が肺で繁殖して炎症を起こしてしまう 病気が誤嚥性肺炎です。  

 肺炎は日本人の死因の第3位であり、高齢にな るほど肺炎で亡くなる方が増えています。高齢者の肺炎の多くがこの誤嚥性肺炎だといわれています。

 高齢者に誤嚥が増える原因は、加齢による筋力の 低下や病気の影響による嚥下機能(飲み込む機能)低下と、誤って気管に入った唾液などをせき込んで外 に押し出す咳反射の低下にあります(嚥下障害)  また、口の中には常に数100種類の細菌が存在し ていますが、加齢や病気によって、抗菌作用や自浄作用を持つ唾液は減る傾向にあり、唾液の減少で口内 が乾いてしまうと、口内の細菌は増えやすくなります。 

 歯みがきがおろそかになり、口内の清掃が行き届かないことも、細菌を増やすことにつながります。口内の細菌が増えるほど、誤嚥性肺炎の危険性は高まります。

 さらに、加齢や不活発な生活による体力低下や喫煙、 ストレス、糖尿病の悪化などによって身体の免疫力が 低下することで、肺炎発症の可能性が高まるのです.

 

??????????

ではどのようにして、災害時にオーラルケアするの

◯避難所生活などでハブラシがない場合は、食後に30mL程度の水やお茶でしっかりうがいをしましょう。

またハンカチなどを指に巻いて歯を拭い、汚れをとるのも効果があります。

◯唾液を出すのも効果的です。だ液には口の中の汚れを洗い出す働きがあります。 水分をできるだけとり、あごの付け根=耳の真下の部分をマッサージしたり温めたりして、だ液を十分に出すよう心がけてください。

ガムをかむこともだ液を出させるよい方法です。

◯水が少ない時の歯磨き

1 水・約30mLをコップに準備します。

 その水でハブラシを濡らしてから口の中へ入れ、歯みがきを開始します。

 ハブラシが徐々に汚れてきますので、ティッシュペーパー(あればウエットティッシュ)でハブラシの汚れをできるだけ拭き取り、また歯みがき、これを小まめに繰り返します。

 最後にコップの水で23回すすぎます。 一気に含むのではなく、23回に分ける方がきれいになります。

 液体ハミガキがある場合

液体なのでお口のすみずみにまで広がり、万一の災害時のオーラルケアにも大きな効果が期待できます。

◎液体ハミガキの使い方は?

練ハミガキの代わりにお使いいただけるのが液体ハミガキです。適量(約10mL)をお口に含み、20秒ほどすすいでいきわたらせた後ブラッシングします。災害時などで水が少ない状況でも、殺菌成分のある液体ハミガキを使うことでお口の中の菌を減らすことができます。

 使用後は水ですすぐの?

水ですすぐ必要はありません。口に残った香味などが気になる場合には、軽く水ですすいでも構いません。

◎使用期限はあるの?

通常の保存状況下で未開封の状態であれば、製造から3年程度経過しても品質に問題ないように設計、製造されています。

このように、災害時は食料や防寒対策に目を向けがちですが、実は食事を取った後の口腔内のケアもとても大切なのです。

日本は四季もあり地震や雷、津波など自然災害が多い国です。予想できないからこそ、備えあれば憂いなし。この機会にぜひあなたの防災グッズの中に歯ブラシと液体ハミガキを追加していただくことを歯科衛生士としてオススメします。