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ミロ歯科公式ブログ
2025.2.20
舌のケアについて
宇都宮市の歯医者さんが教える舌のケアについて
舌はケアをする必要があるのか?
結論としては、舌も歯同様きれいにしていく必要があります。
近年、日本人の半数が、歯ブラシを用いたブラッシングに加えて歯と歯の間の清掃を行っています。舌の清掃を行っている人は2割程度です。
舌苔(剥離した上皮細胞や糸状乳頭の角化物、食物残渣、細菌、真菌、死菌、血球成分、唾液成分、色素などが乳頭の間に溜まったもの)が多くついていると、深部で嫌気性菌の数や割合が増し、口臭の原因となります。
そのため、舌苔が目立つときはケアをすると口臭予防に有効です。また、介護やケアを必要とする要介護高齢者では、舌が担っている咀嚼、嚥下、構音、味覚などの機能改善や誤嚥性肺炎の予防のために舌のケアが重要となります。
舌苔の付きやすい人について
舌苔は唾液分泌の減少によって付きやすくなります。唾液減少を招く代表的な疾患には、シェーグレン症候群、唾液腺障害、肝硬変、糖尿病などがあり、抗精神薬や降圧剤などの服用薬剤の副作用によっても唾液分泌の減少がおこります。また、加齢やホルモンバランスの変化、緊張状態やストレスによっても唾液は減少し、舌苔の付着に影響すると考えられます。さらに、唾液量が正常でも、睡眠時無呼吸症候群や鼻疾患などで口呼吸になると、舌苔が付きやすくなります。
唾液分泌の減少以外にも、口腔清掃不良、歯周病、義歯装着、停滞性食品の摂取、喫煙習慣などが、歯科臨床で確認できる舌苔が蓄積しやすい要因として挙げられます。
その他、抗菌薬の長期服用や副腎皮質ホルモン剤により口腔内の常在菌のバランスが崩れると、糸状乳頭の角化が著しく亢進することによって黒褐色の舌苔(黒毛舌)が生じることがあります。黒毛舌は、服薬を中止し、口腔清掃に努めることにより次第に元に戻ります。
舌苔が付きやすい場所について
舌苔は舌の中央から奥のほうにかけてつきやすいです。舌の後方は、唾液による自浄作用が行き届かず、また、舌の運動時に歯や口蓋に触れないなどの理由から舌苔が付きやすいのです。反対に摩擦運動が強く起こる舌尖や舌縁は舌苔が付きにくくなります。見た目を気にして、舌尖ばかりケアする人がいますが、舌のケアにおいてはもっと奥を注意して行っていく必要があります。
舌苔の取り方について
舌のケアに使用する清掃具にはいろいろな種類があります。清掃部の形状には、ヘラタイプ、ブラシタイプ、マイクロファイバータイプなどがあります。ヘラタイプとブラシタイプが合体した製品もあります。また、清掃部の素材には、プラスチック、エラストマー樹脂、ナイロン繊維、金属などがあります。
清掃具の使い方は共通していて、力を抜いて舌をなるべく前に出し、ついで清掃部を舌の後方部にあて、後ろから手前にやさしく引くように数回動かします。
「歯ブラシで舌清掃をしてはいけませんか?」と聞かれることもあります。歯ブラシと舌ブラシの舌苔除去効果は変わらないという研究報告もありますが、歯ブラシは歯を磨くのに適した硬さで設計されていますので、舌のケアで使用する場合は力の入れ加減に工夫が必要です。また、歯ブラシにはヘッドの高さがあるので、奥に届かないことがあります。そのため、舌粘膜を傷つけにくく、清掃効率が高くなるよう工夫が凝らされている舌ケア用の清掃具を勧めるようにしています。
研磨剤や発泡剤が入っている歯磨きペーストの使用は舌のケアでは傷つけてしまったり、嘔吐反射の原因になるため推奨されません。舌ケア用や口腔ケア用のジェルを使用していきましょう。
まとめ
前述のとおり、舌も歯同様にきれいにしていく必要があります。
なかなか見逃しがちな舌ですが、東洋医学で舌は内臓の鏡と言われるように、舌には体内の変化が表れやすい部分になります。
口の中だけではなく、全身の健康のためにも舌のケアを行っていきましょう!
分からないことなど、なにかありましたらいつでもご相談ください。
栃木県宇都宮市 医療法人社団美歯会 みろ歯科宇都宮歯科診療所
歯科衛生士 山根