みろ歯科ブログ

2019/04/03:世界の子どもの歯科事情②

こんにちは!
宇都宮市みろ歯科受付鈴木です。
さて、私の近況というと初めてホールケーキに挑戦しました!

ケーキ屋さんみたいに回転台をくるくる回して、クリームを塗ります。
スパチュラを動かす向きによってクリームを取りすぎて薄くなってしまったり、その反面、斜めになってしまったり・・・そんな失敗もしながら無事に完成しました。

今年のクリスマスには一人でつくれるかわかりませんが、挑戦と練習あるのみみたいです。

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そして、近所の城址公園の桜まつりにもいってきました!
一足早い河津桜堪能してきました。みろ歯科側はソメイヨシノではないので、まだまだ咲きませんが、いつも4月末ごろまで楽しめるので楽しみです。

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今回も世界の歯科事情2か国の紹介です。
今回は中国の歯科事情についてお話していきたいと思います。

中華人民共和国、通称中国の面積は9,596,961㎢で、ロシア・カナダ・アメリカに続く4番目の大きさです。
中国では都市部と農村部など、地域によって経済発展、社会保障、教育制度や資源分配などは大きく異なっています。
また、社会階層の違いにより貧富の差も存在しており、それに伴い、全身及び口腔の健康格差が生じています。

〇中国に歯学教育
中国における歯学教育機関は1970年代の30校から2008年には94校へと3倍以上に増加しました。
30年前と比較すると歯科医療従事者の数は約10倍になり、2013年の統計では歯科医師93000名、歯科助手23000名、計116000名と報告されています。
中国には歯科衛生士という職種はなく、歯科助手と呼ばれる資格がありますが、その業務内容は日本の歯科衛生士とほぼ同じで、保健指導や予防処置を実施しています。
歯学教育制度は地域によって多少の違いが認められ、国家レベルでは統一されていません。

〇中国の歯科医療制度
人口10万人あたりの歯科医師数は約10名と日本(約80人)の1/8で、他の先進諸国と比較しても非常に低い値です。
歯科医療従事者は都市部に集中しており、人口10万人あたりの歯科医師が最も北京市では29名ですが、辺境のチベット地域では3.5名と非常に少なく、地域により大きな差が認められます。

国全体として、口腔専門病院が302か所、効率口腔保健センターが110か所、そして約15000か所の総合病院(国立および私立)があります。
歯科医師のうち約10%が口腔専門病院と国立の口腔保健センターで、約70%が総合病院で、残りの約20%が私立の歯科診療所(約65000か所)で働いています。
患者さんの歯科治療の50%以上は、私立の歯科診療所で行われています。
日本と同様に、小児歯科の診療室はいつも可愛らしい雰囲気で、子どもが安心・安全に歯科診療を受けられるよう、環境整備されています。
また、診療後の子どもへのご褒美にシールやおもちゃなどを準備している病院もあります。
都市部では質の高い医療を受けたり、医療保険を利用することができます。
例えば都市部の高齢者では、定年退職後の治療費は約60~70%が保険でカバーされる人がいる一方、保険に全く加入していない人もいます。
特に、低所得の農民の大半は保険には何も加入しておらず、病気になると全額自己負担で支払っています。
人口の70%以上を占める農民に対する医療保険制度は整備されていないのが現状です。

中国の医療保険制度は年齢・職業・地域特性(農村・都市)、加入する保険により、自己負担の割合が異なっています。
歯科治療だけでなくすべての疾病の治療において、国が全額負担する場合もあれば、全額自己負担になる場合もあります。
また、医療保険が使用できるのは、国が認定した病院のみです。
外来患者数、医療整備、医師の数と質などを評価して、医療保険を使用できる病院を国が認証しています。

上海での歯科医療保険を例にあげると、う蝕や歯周病の処置(保存修復・歯内療法・歯周病の基本治療など)、外科処置(抜歯)、小児歯科での治療などは保険が有効です。
一方、矯正治療や補綴処置に関しては保険ではカバーされません。
公立の歯科医療機関における歯科治療の例は次の表のとおりです。

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公立歯科医院での歯科治療費(2015年)

〇中国の公的口腔保健事業
1、愛歯日
1989年以降、9月20日を「愛歯日」と定め、毎年異なるテーマで口腔保健の大切さを国民に啓発しています。
メディアを介した啓発活動だけでなく、歯科医療関係者が直接学校、企業、住宅地に行って講演会を実施したり、実際の体験プロジェクトなどを企画・実施し、人々の口腔保健意識を高めています。
これまでのテーマには「適度なフッ素でむし歯予防」「口腔の健康と健康寿命」「シーラントで子どもをむし歯から守ろう」「高齢者の口腔保健」などがあります。

2、西部地区支援のプロジェクト
中国では東部地区と比較して西部地区は経済発展が遅れているため、さまざまな支援が必要とされています。
医療に関しては、毎年医師が東部や南部の都市から支援に出向き、6か月~1年間滞在して先進的な医療技術や最新の地域を伝え、現地医療を支援しています。
歯科支援では、西部地区の住民に対して無料で歯科治療を提供しています。
小児歯科分野では2008年に口腔衛生の向上を目的とした基金が成立され、一部の都市で、学童の口腔疾患予防のためのモデルプロジェクトが開始されました。
子どもたちに正しい口腔保健の知識を広め、良好な口腔保健習慣を定着させるために、3年間に延べ870万名の子どもたちに口腔健康教育の実施、130万名に歯科検診、約80万名に第一大臼歯のシーラント処置を無料で行いました。
その結果、子どものたちは正しい歯磨き方法を習得し、口腔の健康への関心が高まるという成果が得られました。
その経験を活かし地域を拡大してこのプロジェクトが実施されています。

3、サンライズベイビープロジェクト
2009年から「サンライズベイビープロジェクト」が始まり、「中国国民口腔健康の手引き」をもとに、幼稚園児から中学生、また、保護者を対象とした活動を行っています。
具体的には、子どもたちが歯科病院を見学したり、幼稚園や学校の授業の中に口腔健康教育を導入したり、1学期に1回保護者を対象に口腔保健講座を実施しました。
その成果をアンケート調査で確認したところ、子どもや保護者の口腔保健に対する知識・意識の変化がみられました。

4、無料歯科相談会(義診)
義診とはボランティアの歯科医師によるプロジェクトで、国立病院勤務の医師が病院以外の場所、たとえば街中や広場、公園などで定期的に無料の歯科相談会を開催し、市民の歯や口の健康不安に関する質問に答え、助言を言うことです。
予約は必要ではなく、市民にとっては気軽に日々の健康に関する悩みや疑問を専門家に相談して解決できる方法です。

上述したような公的口腔保健事業が実施されているのは、広い中国の中のごく一部の地域に限局されており、継続性にも課題があります。
日本における1歳6か月児、3歳児健康診査のように法律で定められた歯科検診は中国では実施されていません。
国民自身の意識の向上を期待して口腔保健の向上を図ろうとするのは難しく、中国では高度経済成長に比例した顕著な口腔保健の向上はまだ認められていないので、今後、政府および歯科医師によるさらなる取り組みが必要と考えられています。

〇フッ化物の応用
中国の市販されているフッ化物配合歯磨剤のフッ化物イオン濃度は500~1500ppm、子ども用の歯磨剤では500~1100ppmと定められています。
5歳児と12歳児のフッ化物配合歯磨剤の使用率は39.5%と45.9%と報告されています。
中国では、飲用水中のフッ化物イオンの含有量は0.8~1.0mg/Ⅼ以下に規定されています。
しかしフッ素の摂取量が基準量をはるかに超えている地域が一部存在しています。
その理由は、炭鉱採掘による環境汚染や農作物や水源地の汚染、井戸水の使用などですが、少数民族ではフッ化物を多量に含有する特殊なお茶を引用する習慣があることも挙げられています。

2005年の調査によると、全国で歯のフッ素症の発現がみられる地域に居住する人口は1億1600万名です。
30の省や市においてDeanのCFI(Conmminity fluorosis index)を用いて歯のフッ素症の状況を調査した結果、12歳児のCFIは0.25、歯のフッ化症の発現率は11.7%でした。
農村部と都市部それぞれのフッ化症の発現率に差があることもわかり、政府はこの状況を改善するため各省市において水道水のフッ化物イオンを調整するなど対策を指導しています。

〇まとめ
約35年間、著しい経済発展を成し遂げてきた中国ですが、広い国土の隅々まで口腔保健対策がいきわたっていないのが現状です。
莫大な人口、医療資源の不公平な分配、人口70%を占める貧しい農村部での対策、少数民族独特な慣習など、様々な障壁が立ちはだかっています。
口腔健康教育の普及啓発活動や適切な口腔保健施策・制度の制定と確実な遂行によって、国家レベル、個人レベルで口腔保健の向上を図ることが必要とのことです。

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