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ミロ歯科公式ブログ
2024.9.4
唾液の出口について
みなさんこんにちは。宇都宮市みろ歯科、歯科衛生士の山根です。
今年の夏は暑いですね…まだまだ暑さが続きそうですので、みなさん体調に気をつけてください!
前回は唾液はどこでできるのかをお話ししました!今回は唾液の出口についてお話ししていきます。
耳下腺で作られた唾液は耳下腺乳頭から分泌され、口全体に広がります。顎下腺と舌下腺からの唾液は舌の根元の舌下小丘から下の前歯に向けて噴射されます。歯科治療中、噴水のように唾液が噴射されることもあり、勢いよく高く上がり口腔外に吹き出てしまうこともあります。
唾液が一番多く届くのは下の前歯なので、下の前歯の裏側はう蝕になりにくい部位なのです。一方で、唾液の届きにくい場所もあります。たとえば、口腔前庭です。口腔前庭とは歯と頬粘膜、前歯と唇との隙間です。ここは口腔周囲筋など外側からの圧迫もあり、なかなか唾液が行き渡りにくい場所です。
しかし、口腔前庭を潤しているのは耳下腺乳頭から分泌された唾液です。耳下腺から分泌される唾液はサラサラ唾液なので、口腔前庭全体が潤されます。
本当に人のカラダはよく作られていますね。
歯石がよくみられる場所は、唾液が届きやすく停滞しやすい部位です。歯石はプラークを唾液が固めたものですが、上の一番奥の歯のほっぺた側は、歯ブラシが届きにくい場所、そしてまさに唾液の出口である耳下腺乳頭のそばです。
顎下腺と舌下腺からの唾液の出口である舌下小丘に近い下の前歯の裏側にもよく歯石が付いています。下の前歯の裏側は歯列がカーブしていて歯ブラシを動かしにくいうえに、隣接面に歯ブラシを当てにくいため、もともとプラークが溜まりやすい部位です。そこへ、唾液が分泌され、唾液に含まれるカルシウムによってプラークが固められた結果、歯石になるのです。
これら唾液の出口は水の吹き出し口と同じで、洗浄作用が強いところです。唾液が大量に流れるので、う蝕にはなりにくいです。
一方、上の前歯の外側は小児でもう蝕の好発部位。顎下腺や舌下腺といった唾液の出口から距離もあり、耳下腺から分泌された唾液が、歯列の唇側にふくらむ上顎犬歯に当たって下方に流れるため、唾液が届きにくい部位だからなのです。また、お口ポカンならなおさら唾液が届きません。
次に、年をとると唾液は減るのか?についてお話ししていきます。
成人の一般的な1日の睡液量は、約1.5Lと言われています(小児は500mLです)。1.5Lと聞くと、「ずいぶん多いな」と思われるかもしれませんが、一般的に唾液量は多いほうがよく、ありすぎということはありません。唾液が多すぎると訴える患者さんもたまにいますが、多くは飲み込み(嚥下)の機能が低下しているので、睡液が多すぎると感じられるのです。通常は自然に飲み込まれるので問題はありません。
年を取って唾液が減ったと訴える方は多くいますが、加齢で睡液は減少しないという見解があります。たしかに刺激睡液は大きく減少しませんが、安静時唾液は減少します。加齢以外でも、薬物やホルモンなどさまざまな要因でやはり40代以降から睡液は減少傾向になる人が多いです。
ただ、個人差が大きく、まったく減らない人もいます。
また次回も唾液についてお話ししていきます!